逃亡〈下〉 (光文社時代小説文庫)



逃亡〈下〉 (光文社時代小説文庫)

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ただただ圧倒されるのみ。でもいいかも

重い、読み終わった後にずしりと重い物がのりかかるそんな読後感を読んだ後に抱きました。上巻を読んだ後に悪徳岡引梅三郎が不憫なお蝶を罠にかけて追い込んでしまいますが、それを知った源次がただ梅三郎憎しにひた走りと狂い迷えながらえていくのかと思ったこころ、そんな生易しいものではなかったです。梅三郎と源次の間にひしめく様様な悪の手先どもが縦横無尽にひしめいていてそれは読みつづけている私を飲み込んでいくようでありました。悪徳岡引のはずの梅三郎が実はそれほど悪くはないのではないのかと思えてくる、その梅三郎を凌ぐ悪い贋金作りに巣食う悪い奴ら、上巻ではただただ梅三郎一人が悪徳非道の限りを尽くしているように見えて実はもっと悪い人たちが雨後のたけのこのごとくひしめいていて上巻で印象を全部吹き飛ばしてしみそうな感じがしました。そして終われているはずの源次も恋慕うお蝶が入水自殺をして悲しみに暮れまくっているはずなのにそれを読みながら悲しみを共有しようとはさせまいとすさまじい勢いでドンドン進まれていく時の流れはそれさえも忘れてしまいそうです。気が付くとお秋という女性と懇ろになってなんだと思ってしまうのですがそれさえ考えさせないくらいドンドン迫力のある目まぐるしい展開が進んでいくのは圧倒されそうでした。でもそう、言いながら最後、テレビドラマとは異なった展開ながらそれでも源次のお秋との幸せな行く末が何かうれしくなってしまいました。ただの梅三郎と源次の両者の激しい火花の散らしあう戦いだけがあるのではなく其処にうごめく巨悪が様様に入り乱れすぎて私はただついていくのが精一杯でもうその迫力のある展開に圧倒されてしまいました。もう読んだ後は放心状態でになりそうでした。最後はその巨悪が源次の手によってではないにしても根絶やしに根絶され源次も新たな幸せを見つけてなんかうれしく思いました。



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